10−8繊維と染料の関係

今日は繊維と染料の関係について書こうと思います。

私たちの着ている服に使われている染料のほとんどは合成染料です。

天然染料である植物染料を考えてみると成分が複雑で、色素の含有量も栽培条件によって違ったりと望んだ色に染め上げるには高度な技術が必要であることや同じ色に多量に染色することも難しいといえます。

また、日光や洗濯などに対して丈夫でないもの多く、鮮やかな色相もほとんど得られないので使用しにくい染料であると考えられます。

それに比べて合成染料は天然染料のマイナス点を補うといった感じでとても使用しやすいです。

この合成染料は、染め付ける繊維の種類によって使用する染料は異なります。

簡単にまとめてみました。


〈直接染料〉

染料と食塩などの電解質を加えた染料水布などの被染物を入れ、加熱することで直接的に染色される。木綿、麻、レーヨンなどのセルロース系繊維に応用され、色調は各種あるが鮮明性に欠ける。洗濯堅牢性が低く色止めの後処理が必要である。


〈酸性染料〉

硫酸、ギ酸、酢酸などの酸性浴から羊毛、絹などの天然繊維の他、ポリアミド繊維であるナイロンなどに応用される。羊毛用の堅牢染色には酸性媒染染料(クロム染料)が使用される。


塩基性染料〉

直接、酸性染料が水溶液中で陰イオン(アニオン)になるのに対し、陽イオン(カチオン)になる特徴を有する。アクリル系繊維に対し優れた日光堅牢性を示し、カチオン染料と呼ばれる。


〈バット染料〉

古くからインジゴに代表されるように水の不溶性の染料である。不溶性のインジゴを溶解するのに古くから発酵法が用いられてきたが、現代ではバット染料に対しては、ハイドロサルファイト及び水酸化ナトリウムで還元して水溶性のロイコ体としている。この工程を建てると言い、建染染料とも呼ばれる。染色後空気に曝すことにより酸化し、石けんで煮沸ソーピングを行い、堅牢度の増進、色調の向上を図っている。


〈分散染料〉

水に不要であるため分散剤を併用して分散状態で応用する。アセテート用染料として開発されたが、現在はポリエステル用の染料として多用されている。アセテートを染色したとき燃料ガスで退色するものがあり、昇華や有機溶剤に弱い欠点を有する。ポリエステルに応用する場合には、繊維構造が緻密なため130℃以上の高温高圧条件下で染色される。


〈反応染料〉

繊維と科学的に反応し堅牢性に優れた染料である。主にセルロース系繊維に応用されるがタンパク系の繊維にも一部用いられている。水との競争反応であるため、反応効率を高めるため、中性で染料を吸着し、弱アルカリ性を添加して固着させる二段階染色工程によることが多い。


〈蛍光増白染料(蛍光増白剤)〉

無色または淡黄色の染料で紫外部に吸収をもち、吸収した紫外線のエネルギーを紫〜青の蛍光として発光する性質を持つ。この蛍光によって、漂白後も多少黄色味の残っている白布の反射スペクトルに青色の光を補うため輝いた白さが得られる。


〈酸化染料〉

毛皮・毛髪用に用いられる。芳香族アミンの水溶性塩類を酸化剤で酸化すると、不溶性の酸化縮合体を生じて発色する原理を利用したものである。芳香族アミンの種類や配合により、様々な色を生じる。


天然染料についてもまとめてみました。

〈媒染染料〉

繊維に直接染着しないためアルミニウム、鉄、ニッケルなどの金属を使用する。これらの金属を媒染剤と称し、水溶液に布を浸す工程を必要とし、染色前に浸す場合先媒染、染色後に浸す場合を後媒染という。天然染料のほとんどがこの部族に属する。

このように染料と繊維にはそれぞれ相性があり、相性が悪いと染まりませんし、相性が良いと染まります。


授業でWinShotの使い方を教わったので試しに媒染染料の分子の結合の模式図を載せてみました。


(かかった時間1時間)